風の中のマリア 百田尚樹 あらすじ・感想
ー今日が私の死ぬ日かもしれない。しかし死んでも悔いはない
疾風のマリア
マリアはオオスズメバチのワーカー。
メスだけで構成されているオオスズメバチのワーカーは生まれながらにしてある宿命に囚われている。それは、帝国(巣)を守ること。
帝国を守るため、マリアは恋もせず、子も産まず、戦い続けるのだった。
偉大なる母
オオスズメバチの中で、唯一、卵を産む女王蜂。
女王蜂は、全ワーカーの産みの親で、ワーカーからは「偉大なる母」と呼ばれていた。
自ら戦いに出ることはない女王蜂だが、彼女の壮絶な人生をマリアは知ることとなるのだった。
帝国にさす影
日々、妹のため戦い続けるワーカー。
羽化してワーカーとなる妹。
帝国拡大のため卵を産み続ける「偉大なる母」。
マリアたちはこの帝国が永久に続くと信じていた。
しかし、マリアは帝国に変化を感じ始める。そして、ワーカーにとって大きな戦いが始まるのだった。
オオスズメバチの一生
30日しかない命を燃やして戦い続けるオオスズメバチのワーカー。
そして、普段は見ることができない巣の内部事情。
複雑に絡み合った宿命は、しかし彼女たちの体に刻み込まれている。
オオスズメバチの一生をリアルに美しく描いた作品。
感想
メスのオオスズメバチはなんというか、漢(オトコ)だな、と。
この作品を読むと、そう感じざる負えないです。
戦うために生き、死ぬときは勇敢に。最初から最後まで男らしい。
メスなのに恋ができない、というのは他の虫からすると異様なもの。
しかし、これにはゲノムとか、遺伝子の関係が複雑に絡んでるんですね。
誰に教わったわけでもないのに、それに従って皆戦う。自然界というのは不思議なものですね。
自然界を人間的な視点でリアルに描いた作品は、とても新鮮に感じました。